ほほいのアトリエ~時々シアター~

ホームシアターで観たり聴いたりしたこととか、絵を描いたりしたこととか、日常的なことを書きます。

【メイキング】Can You Fly Sister?【絵どうろう】

私が住んでいるところでは毎年夏になると七夕絵どうろう祭りというものが開催されます。期間中、家々では青竹に五色の短冊や吹流し等をつり下げて門前に飾るほか、浮世絵美人が描かれた大・小数百個の絵どうろうが通りに下げられます。
日暮れ時ともなれば、これらの絵どうろうに一斉に灯がともされ、市内一円が一大不夜城と化します。月並みな表現ですけど、とてもきれいなんですよ。

 

お祭りより少し前、春頃なんですが毎年「絵どうろう講習会」という会が開かれ、絵どうろうを描かれる先生達が参加者に絵どうろうの描き方や制作方法を教えてくださいます。こうして伝統が継承されていくのです。講師の先生の方々は初心者の人にもとてもわかりやすく丁寧に教えてくださいますので、是非興味がおありの方は参加してみてはいかがでしょうか。とても楽しいですよ。

 

ということで、この絵どうろう講習会に私も3年程前から参加させていただき、絵どうろう制作を教わっていました。今回は昨年2018年に私が制作した絵どうろうの1作について制作過程を書こうと思います。

 

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まずは、何を描くのかを決めなければいけません。

 

何を描こうか悩みましたが、以前年賀状用に描いたイラストを基に描いてみようと思いました。↑のイラストですが、ご覧の通りキャラクター以外の背景は真っ白です。少し寂しいですよね。半端というか、未完成感が否めません。なので背景を描きこんで今度こそ完成と呼べる一枚にしたいと思って挑戦してみました。

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次にベニヤ板にマス目を引いたものを壁に立てかけます。ベニヤ板はホームセンターで購入しました。

あ、ちなみに今回は自宅で制作しました。

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その板に下描き用の紙を敷いて端を画鋲で固定します。

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あとは元絵を下描き用紙に模写します。マス目を基準にデッサンを意識して描いていきます。

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そっくりそのまま模写するのではなく、元絵より「こうしたほうがいいんじゃない?」という思ったところはアレンジを加えながら描きました。

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ということで、下描きはこんな感じ(↑)で終了です。

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次に、清書用の紙を下描き用の紙の上に貼って、下描き線を透かして視ながら墨入れをします。墨入れというのは筆先に墨汁をつけたもので線画を描く作業です。線をただ均一に引くだけでなく場所によって線の強弱をつける必要があります。下描きと違い、基本的に直しがきかない一発勝負なのでとても緊張します。ですが、縮こまってもしょうがないというか作業が進まないですし、ここはビビらず思い切って筆を走らせます。

 

うりゃあ!

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ということで墨入れ完了です。

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続いて、隈入れの作業に入ります。

隈入れとは奥まったところを表現するといいますか、陰影をつける作業になります。

要所要所に入れていきます。

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隈入れ終了です。

そうしたらキャラクターの色をどんどん塗っていきます。

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まだ塗り終えてないところもありますが、キャラの色塗りはひと段落。

続いていよいよ、本番の背景に挑戦です。

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シンプルに空を飛んでいる感じにしたかったので、空を描いていきます。

初めに水を含んだ筆で広範囲に塗ってから、もう一方の筆で青の染料を含ませたやつを少しずつ塗っていきます。

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青色はとにかくムラになりやすく、均一均等に塗るにはすばやく塗ることが求められたように思います。とにかく時間との戦いでした。

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めっちゃムラになりまくっているのがわかります。割とへこみました。

へこんでいてもしょうがないので、塗ります。

またキャラの方を塗りながら、背景も塗ります。

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それと絵どうろうならではというやつなのですが、ロウソクのロウを溶かしたものを塗るという作業もありました。ロウを塗ることによって後ろから灯りで照らされたところが「透けて光っているように視える」ようになるんですね。

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ということで「光らせたいところ」にロウを塗りました。

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ここまでくると、あと一息です。

気合で一気に仕上げます。

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塗り終わりました。

が、絵どうろう制作はこれで終わりではありません。

この後は絵どうろう用の木枠に貼り、その周りをビニールシートで囲い貼るという大仕事が待っています。この作業は講習会参加者の方々と一緒に行いましたが、作業時の写真は割愛させていただきます。

 

そして、

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完成です。

 

例によって、背景の空が上手くいかなかったことや、やはり塗りに多くの課題があるなぁと実感した次第でした。

 

ですが、お祭り当日に色んな方々に見ていただくことができて、とても嬉しく思いました。

 

今年は諸事情で絵どうろうは描かないことにしましたが、来年はまた描きます。

絵どうろう制作は、奥が深くて楽しいですよ。